日記小咄

□しあわせのしっぽ
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聞こえてくる足音に
ふんわり白い尻尾をぱたぱたさせる

ぱたぱた
ふわふわ

無口なご主人さまは
ちらっとわたちを見てまだ寄って来てくれないから


わたちはもっと
尻尾をぱたぱたふわふわ させちゃう


ぱたぱた
ふわふわ
ぱたぱた
ふわふわ


ちょっと忙しいくらいにやってやります

ご主人さまが近ずいて
わたちにあと五歩までは 一生懸命尻尾を振ります


ご主人さまが
あとわたちまで三歩になったらぴたっと

ぱたぱたはおしまい


何故って?

帰ってすぐに
わたちを撫でてくれなかったご主人さまに
わたちなりの意地悪です

「今、戻ったアベル」

「お帰りなさい、トレス君」

それに
もう、ふわりと抱きしめてもらえる事を知ってるから

「私の尻尾で空を飛べそうな程幸せですよ、トレス君」

「…アベル…理解不能だ、卿の詳しい詳細を説明する事を要求する」

「幸せって事です」


大好きなご主人さまの唇をぺろり


「こういう事です」

「…肯定」


好きな人が側にいてくれるって


「本当にしあわせです」  



しあわせの尻尾



ありがとうございます
トレス君

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