捧げ物
□好き…と言う言葉ひとつ
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それから『チハヤ先生の料理教室』が開始された
「玉ねぎの大きさがまちまちじゃないか。もっと、綺麗に揃えて……」
「ああ!そんなに強火にしたら駄目だ。中火から強火の、この間くらいを保って…」
「うげっ…アカリ…塩と砂糖、間違えただろ…。すっごく甘いんだけど……。」
このような感じで外が赤く染まるまで二人だけの料理教室は続いた
「…………………」
「………………」
「ど、どうかな…?」
アカリの料理を口に運んでゆっくりと味を確かめるように噛む、チハヤの様子をアカリは緊張した面持ちで見守っている
「……うん、美味しいよ。最初はどうなるかと思ったけどやれば出来るじゃないか。」
チハヤの言葉にパッと表情を明るくすると「やった!」とつぶやけばアカリは軽くガッツポーズを取る
「…所でさ、今更なんだけど…なんで料理を習おうなんて思ったの?」
そんなアカリの様子にチハヤは笑んで見せるが教えている間も引っ掛かっていた疑問をアカリへと投げ掛けた
「…え、あ…それは……」
チハヤの問い掛けにアカリは下を俯くと軽く頬を染めながら両手の指を絡ませる