シリーズ
□三人で恋する〜神南2〜
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ピピピ…ピピピ
と朝の目覚めを告げるアラーム音にその音を止めようと手を伸ばすが、いつも置いてあるはずの場所にその物体がないことに「ん〜」と身動いで横に手を伸ばすと
「……時計はここやで」
その声と共にピッと停止するアラーム。
「…ん、ありがと…」
そのまま横向きに転がれば何かの物体に手が当たって本能のままにぎゅっとしがみつく。
(私、抱き枕なんて持ってたっけ…?)
「…ふふ、可愛ええな」
そのまま柔らかな薫りが私を包んでくれるので、気持ちよくなって再びうとうと、としてしまうと
「…い、おい。かなで」
背後から呼び掛けられる。
その声はなんだか知り合いの声によく似ていて。
…でも、私の部屋に彼がいる筈がない。
多分これは夢なんだろうと寝直そうとすれば、その声は先程よりずっと不機嫌に私の名前を呼ぶ。
「…起きろ、かなで」
(いったい…なに…)
と、ゆっくりと瞼を上げてみるとぼやける視界に見慣れた顔が…顔、が
「おはよ。かなでちゃん」
「………っつ!」
瞬間、一気に目が覚める。
抱き枕…否、蓬生さんがまさに目と鼻の先に。
な、な、な…なんで蓬生さんがここにっ!?
「どないしたん?…まだ、寝ぼけてるん?
ほんま、かなでちゃんはお寝坊さんやね」
「……え、あ…う…」
訳がわからなくて、蓬生さんから身体を離す事も忘れ、目をぱちくりとさせて言葉にならない声を出していれば「ふふ」と小さく笑う蓬生さん。
「…昨日の夜の事も忘れてしもうたん?あんなに楽しんだやないの」
よ、よる!?たのしっ!
蓬生さんの発言に顔が一気に熱くなるのがわかる。
そうしてると…
「おい!かなで」
先程までうっすらとしか聞こえなかった声が今度は背後からしっかりと聞こえてきて。