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□三人で恋する〜神南2〜
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首だけをそちらに向ければ…やはり東金千秋さん。
「…やっと、こっちを向いたか」
眉根を寄せて、不機嫌に呟く東金さん。
…ど、どうして…東金さんまで?
「茹で蛸みたいな顔しやがって。…蓬生、こいつで遊ぶな」
「遊んでへんよ。俺は本当のことを言うただけや。…川の字になって、三人でお喋りしたやん?楽しかったな思うて。かなでちゃんの寝顔も可愛いかったし、な」
ふふ、と笑って抱き締められたまま頭を撫でられる。
そうだった、昨日は神戸に遊びに来て…安いホテルにでも泊まるつもりでいたら、私のために部屋を用意したとか言われて…三人で同じベッドで寝たんだった。
思い出すと、やはり無条件に恥ずかしくて顔がより熱くなる。
「なんでまた蓬生の方を向くんだ。こっちに来い、かなで」
「かなでちゃんは俺が好きなんよ。せやから、千秋のとこには行きとおないて」
「ふざけるな」と言って、ほぼ無理矢理…東金さんの方に引き寄せられる。
「…と、東金さ…」
「…………」
あれ、なんだかさっきより不機嫌な顔。
「…東金…――」
「…千秋」
千秋…?あ、ああ。そうだった。
「…千秋さん…」
やっぱりまだ慣れないのか、ちょっと恥ずかしい。
そう思ってるとぎゅっと抱き締められて千秋さんが呟く。
「…お前、なんで寝返り打つのに俺じゃなくて、蓬生の方に行ったんだ」
寝返り…あ、もしかして…アラームを止めようとした時かな?…でも。
「…なんで…って、寝返り打つのに理由なんかないですよ。普通」
「…理由なんかどうでもいいが、お前が俺に向かなかった事に問題がある。次からは俺の方に寝返りを打て」
…なんて、無茶苦茶な。
でも次、と言う言葉にはやっぱりあるんだ…と受け止めてる私はこの二人に感化されてるんだろうな。