捧色の間3
□適材適所の選択肢
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・・・―――「よろしくお願いします。黄進士」
数秒絶句した後、それでもにこやかに笑いかけてくれた先輩官吏に、鳳珠はかなり驚いていた
なにしろ今年は、進士式自体マトモには行なわれなかった
なぜなら、皆が鳳珠の美貌に惚けて正気を失い、“自分”を保っているのは、同じく及第した進士達と、霄宰相・茶大官・宋将軍と主上、そして、数えられそうなほどの数名の官吏だけだった
進士達は、及第する時点で“振るい”にかけられているため、少なくとも正気を失うものはいなかった
とはいえ、クスクス笑う余裕があったのは、探花及第した自分の横に並んでいた、状元、悠舜・榜眼、黎深・そして悠舜の後ろに並んでいた4位及第、飛翔だけだったが・・・
どうやら、この穏やかに笑う先輩官吏は、神経の図太さではアイツ等に並ぶらしいな・・
というのが、鳳珠の最初の感想だった