『霞シリーズ』番外編集
□きっと変わらずに
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・・・―――「全く、私の養い子をあんなに苛めなくていいだろう、鳳珠」
絳攸が出ていって間もなく、黎深が奇人の前に現れた
「盗み聞きとは相変わらずだな黎深。絳攸みたいないい子がお前の傍にいるんだ」
黎深はクスクスと笑う
「絳攸がいい子じゃ無いわけがないだろう?私が育てたのだし、君や悠舜、飛翔まで可愛がっていたんだからね・・・」
「女だと判ってて雇ったんだろ?」
「言い出したのが絳攸だったからな。あの子は決して無駄なことはしない」
「もちろんだよ」
黎深は誇らしげに応じた・・・
「秀麗は、国試を上位及第する。絳攸の保証付きだよ」
仮面を外した鳳珠の、形の良い唇がつり上がった
「目が不自由にも関わらず、人の遥か先を見て行動する・・・か。本当にあの子は凄いな」
「当然だ、私の子だからね・・・」
鳳珠の呟きに、黎深はそう応えた
笑みを浮かべた唇を扇で隠して―――
そんな黎深を見て、鳳珠はまた、小さく溜め息を吐いた
呆れというよりは・・・
「厄介だな。あの王は果てしなく馬鹿だが、どうやら愚かでは無いらしいから。」
あの子は優しいから、そういう人間が好きだろう?・・・と、呟いた鳳珠の声は、
すでに尚書として必要な国試女人受験に関する黎深に訊くべきことを訊き終えているからか、ただの『父親』の声だった・・・
「あの王が愚かだったら、私が既に殺しているよ。国なんてモノは、私にとって、あの子と天秤にかけるまでも無いのだから・・・」