短編小説

□栄光が映す陰影
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二十八歳になったばかりのギルブィスは、好奇心が溢れんばかりの瞳に蝋燭の火を映し、仲間と酒を煽っていた。
アルバニア王国は、隣国との三十年に渡る戦乱の果てに停戦の申し入れがなされ、平和を手にしてから六年がたっていた。
戦といえば国境付近で起こるイザコザ程度で、大々的な戦闘は行われる事もない。
その年、アルバニア国王は兵の質を保つ為と銘打ち、武闘大会を開いた。
国内に数多く存在する騎士団対抗の剣術試合である。
優勝した騎士団長には、軍事に対し、国王への進言と、国王の相談役に任命されるとあって『政策にも顔を出せる』と各団とも目の色を変えた。
ギルブィスは国内でも有数の騎士団獅子団の代表として剣術試合に出場し、準決勝を勝ち抜いた。
明日に決勝を控える身であった。

「優勝は俺達獅子団が頂いたも同然!」
「頼むぞギルブィス!勝てば俺達は、国を代表する騎士団だ」
「それほどの誉れはない!」
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