短編小説

□栄光が映す陰影
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ギルヴィスはガレンスに笑い返し、仲間を見やる。
既に主役をそっちのけで騒ぐ仲間達は、ギルヴィスがいなくとも気分を害する事はなさそうだった。

「では私は先に上がります」

ガレンスに一礼し、立ち上がる。

「気を付けろ!決勝で当たる騎士団はラジス領主エグラムが団長を兼任している。政策に加わる為にここまで必死に勝ち抜いてきたらしい。奴等、多少汚い事もしていると言う噂だ」

ギルヴィスが帰るのを見つけた仲間の野次に片手を上げて挨拶を残し、ガレンスの気遣いに感謝の意を込めて一礼し、店を後にした。
満天の星がギルヴィスを追いかけている。
酔いを抜くには心地よい風を肺に送り込む。
吐く息は酒気が混ざり、また風に乗ればいずれ浄化されるに違いない。
心地よい夜だった。
静かすぎる夜は、明日をより輝かせ、祝福する為の静けさであるかの様であった。
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