アストリア戦記

□第五部 見る夢と望む結末
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1、『開戦前の戦い』


グランノール王国と旧カールトン帝国を結ぶ国境は過ぎてしまえば、平野が広がり、高さ十五センチ程の草が永遠と広がっている。
山を抜けると、右手に見える林は、道を隔てているため、裾野と呼ぶには些か不十分だ。
森と国境の間にある道もまた商人の足が作り上げた物である。
旧カールトン帝国とエインズワーズを結ぶ大陸行路は、しっかりと整備されているものの、エインズワーズからグランノールに向かうには、ゲイトリップを経由するか、道は悪くとも、カールトン帝国とグランノール国境沿いを通り、山道をいくしかない。
大陸内の大陸行路の使用料は、全てカールトン帝国に入る。
ゲイトリップを経由し、グランノールに向かうには、その交通料を払わねばならない。
ゲイトリップに用がない者は十中八九この道を通る。
もっとも、商人の通行が増え、道中大した警備もなく、身を潜める場所はいくらでもある、となれば増えてくるのは、山賊や盗賊の類である。
警護の傭兵を雇うか、大陸行路使用料を払うかとなった時、後者の方が断然安い。
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