短編2
□さくら
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ひらひらと、花びらが舞う。
ひらひら、薄紅色が舞う。
ひらひら、ひらひら。
彼女はそれを捕まえて、笑っていた。
――けれど。
僕がまばたきひとつ、ぱちりとしたら。
彼女は消えて、ひらひらと花びらが舞っていた。
彼女は幻影。
僕のつくりだした幻。
ひらひら、ひらひら。
花びらが舞う。
ひらひら、ひらひら。
太い幹の、その下に。
彼女は眠っている――
誰も知らない、その場所で。
僕だけが知っている、その場所で。
彼女は永遠に、眠っている――
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