短編
□<智舎>
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其の子供は、未だ幼くあどけなく。
けれど、生まれ落ちた其の瞬間に与えられた名は、まなびやを表す言葉――<智舎>。
幼くあどけない子供は、人に教える役、与える役をられていたのだった。
――子供。
我に途を示せ。
――良いよ。
彼方へ行くと良い。
お前の途は、彼方へと続いている。
――子供。
我に途を示し続けよ。
共に来い、子供。
――良いよ。
<智舎>は、消えた。
消えた。然し、子供自体が消えた訳ではない。
幼くあどけなかった子供は、<智舎>という名を隠し、成長した。
成長し、然して――今に、至る。