お題
□意味不明な5題B
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1.それは世界の真実
〈先視の力〉という力が存在する。それは誰しも少しは持っている力だという。
直感、第六感。
そう呼ばれるもの、それが〈先視の力〉。
けれどその力を自覚するものは少なく、更に己の意思で行使するものは更に少ないという。
その力を自在に操る者。しかも操るその力は強大だという。それは少女――未だ年若き少女。
少女、名を枝楠。
枝楠はずっと泣いていた。ずっとずっと泣いていた。
何故泣くかは誰も知らない。枝楠は誰にも理由を言わなかった。
ただただ泣くばかりで、けれどそれもいつしか納まっていた。
枝楠は泣かなくなった。
代わりに、全てを蔑むように見た。全てを醒めた目で見つめ、いつも一人で居た。
一人で、星を見て、空を見て、大気を感じて占いをしていた。枝楠の占いは良くあたった。どこから聞いてくるのかそれを目当てに人が集まる。村人は喜び、それと同時に枝楠を見る目を変えた。それは、そう。
魔物を見る目。
人ではない、何かを見る目。恐ろしいものを見る目。枝楠はそれでも変わらなかった。村人達を蔑むように、醒めたように見ていた。
そして、ある日。世界の命運が分かたれる日。枝楠の占いを目的に村を訪れた一人の人。
少年が一人、村にやって来た。