Gift

□純情ボーイの嫉妬
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「先輩!! せーんぱいっ」

「うるさいよ。一体何?」

「さっき先輩の幼なじみっていう男の先輩から聞いたんッスけど」

「(私の幼なじみの男? ……誰?)うん、それで?」

「先輩がき、きききき」

「ききききうるさいなぁ。アンタは猿か」

「うぅ……せ、先輩が、昨日、翔って奴と、き、キスしたって」

「翔……? あぁ、キスしたね」

「え、マジッスか!?」

「うん。あまりにも可愛かったから私からぎゅーって抱き締めてあげた」

「(だ、抱き締めた……!?)」

「最初は一緒にソファーに座ってたんだけど」

「…………」

「気付いたら翔に押し倒されてさー」

「…………」

「んで、遮る暇もなくちゅーしちゃったのよ」

「…………うん」

「翔ってば私が大好きみたいで、もう私も――」

「せんぱぁぁぁぁぁいっ!!」

「!? きゅ、急に大声出さないでよ! ビックリした……」

「嫌だー!」

「な、何が嫌なの?」

「先輩に抱き付いていいのも、き、ききききキスしていいのも、俺だけッスから!」

「こ、こら! 学校で抱き付くなって言ったでしょ!?」

「嫌! 誰かに盗られるぐらいなら、俺がずっと抱き締めとくっ」

「誰も私のことなんか好きにならないよ? そんな物好きはアンタぐらいだし」

「……翔って奴は?」

「翔は確かに私のこと大好きだけど……アンタの好きとは違うみたいだし」

「はい! 俺は心の底から本当に先輩のこと大好きッスよ! 寧ろ愛してますっ」

「よ、よくそんな恥ずかしい言葉が言えるわね……」

「だって先輩に俺の気持ちを知ってほしくて……」

「アンタの気持ちなんて言われなくても充分私に伝わってるから。もう、恥ずかしいから早く離れて!」

「せ、せんぱーい……」

「(しまった! やぶへびだったっ)」

「愛してまーす!!」

「キャー!」




純情ボーイの嫉妬
(俺だけを見てください)




「お、やってるやってる」

「!? も、もしかしてこの子にアレを言ったのはお兄ちゃんなの!?」

「え、お兄さん?」

「さっきはどうもー。いやぁ実に面白かったよ。名も知らぬ後輩くん、ありがとう」

「は、はぁ。どういたしまして?」

「我が妹を愛せるのは、これまでもこれから先もキミだけだ。よろしく頼むよ」

「え、翔って奴は……?」

「アンタ、何を勘違いしてるか知らないけど、翔は我が家の愛犬よ」

「い、犬!?」

「オレは悪くないからな、我が妹よ。ちゃんと後付けで『犬の』って言う予定だったんだからな!」

「それは威張って言うことじゃないわよ馬鹿お兄ちゃん!! お兄ちゃんのせいで……」

「先輩」

「え、何?」

「紛らわしい言い方をした先輩も悪いので、お詫びにき、ききききキスしてください!」

「キスもちゃんと言えないのに強請るなっ」




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