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□真っ直ぐな言葉
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「ユリア!」
「サイベス、何か用?」

サイベスは、街の広場でユリアを呼び止めた。
彼女は街一番の美人で、様々な男から愛を囁かれている。
しかし、当の本人はどうでもいいようで、未だ彼女と付き合った男はいない。
それを承知の上で、サイベスは幼なじみでもあるユリアに想いを伝えようとしていた。

「い、いや、その……」

いざ、本人を目の前にすると言葉が出ない。
一週間、夜中にひたすら練習した意味は全くなかった。
なかなか言葉を発しないサイベスに、ユリアは苛々しながら言葉を紡いだ。

「私、はっきりしない男の人嫌いよ」
「うぅ、ユリア!」
「だから何?」

サイベスは、覚悟を決めた。

「俺と……俺と付き合ってくれっ」

結局、練習した言葉は出ず、一言で人生初の告白は終了した。
サイベスは心の中で涙を流す。
やがて、ユリアが徐に口を開いた。

「……サイベス」
「な、何だよ」
「私、はっきりしない男の人は嫌いって言ったわよね」
「あ、あぁ」

ユリアの言葉を一言も聞き逃さないよう、全身全霊をユリアに向ける。
すると、ユリアは微笑した。

「イコール、はっきりした男は好きよ」
「!?」
「貴方みたいに真っ直ぐに言葉をくれたのは初めて。今までの男たちといったら、君は薔薇より美しいだの、まるで女神のようだだの、形容詞ばっかり」
「…………」
「私は回りくどい男も嫌いなの。だから、貴方の言葉は胸に響いたわ」
「そ、それで返事は……?」
「やだ、言わせる気なの?」

ユリアが頬を膨らませたので、思わずサイベスは謝る。

「わ、悪い」
「貴方のその引っ込み思案な性格が直ったら言ってあげるわ」
「そ、それって……!?」

刹那、ユリアの背後から誰か知らないが男の声が聞こえた。

「ユリア! キミのその美しい瞳がダイヤモンドのようで」
「煩いわねー。私、貴方とは合わないから無理ね」
「ユリア、僕の話を」
「聞くまでもないわね。だって私、先約がいるもの」
「えぇ、いつの間に!?」

男の話を全て遮り、ユリアは歩き出す。
一方、サイベスはユリアの言葉に自分の胸が温かくなるのを感じた。

「サイベス、行くわよ!」
「あ、ユリア待てよッ」

微笑から笑顔に変わったユリアに、サイベスはもう一度惚れ直した――




『応えは眩しい笑顔』




「まったく、私が何年待ったと思ってるの」
「え、何か言ったか?」
「何も言ってないわよー」
「?」

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