Long

□我が侭な王女B
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ラヴィニアが漸く就寝したことを侍女から聞いた王妃は、溜め息を吐いた。
一人の男のことが忘れられない娘を、王妃は母として心配している。
一方、隣に座っていた王は、王妃の背中をさすった。


「あなた、やっぱりお見合いなんてさせられないわ。今のあの子には休息が必要なのよ。いきなりお見合いだなんて酷だわ」

「だが、ラヴィニアはお見合いを認めたのだぞ? 大丈夫なのではないか?」

「女心が解っておりませんわね。ラヴィニアはマリウスを忘れるためにお見合いを引き受けたのですよ? そんな気持ちでお見合いなんてしたら、あの子も、そして相手の方も傷付くだけ。どうしてそれが解らないのかしら」


王妃は呆れたと呟いて溜め息を吐く。
王は少しムッとしながらも反論した。


「きちんと手紙には書いていたし、それをあの子は認めたのだ。確かにラヴィニアの気持ちは大切にしてあげたいが、あの子は我々の一人娘で、唯一の後継者だ。ラヴィニアには悪いが、このままお見合いを受けてもらう」

「……今まで散々ラヴィニアに弱かったあなたの発言とは思えませんわ。あなたは変なところであの子の我が侭を聞いてあげられないのですね」

「そ、それは仕方ないだろう? これはこの国の存続に関わるのだからな」

「そうですか。では私と結婚したあなたはお父様に言われて渋々結婚したのですね。そうとは知らずに申し訳ございません」

「それは誤解だぞ! 我はおまえを愛しているが故に……」

「では、どうしてラヴィニアは愛している者と結婚できないのですか」


王妃の言葉に、王は沈黙するしかなかった。

それでも、お見合いは一週間後に行われることが決まった。




母の愛と娘の涙
(貴方を忘れることが出来るなら)




To be continued……

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