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□W‡GOT番外編『キミがいる』
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明日、ディロンが通うヴィス小学校は遠足を行う。
それに伴い、ディロンは遠足に行くための準備を母であるミサトと行っていた。
全ての準備が終わり、ディロンは寝具に潜って明日のことを想像した。
(明日はエンナやサラお姉ちゃん、それにジュナトスお兄ちゃんと一緒にお昼ご飯を食べよう)
数ヶ月も前から楽しみにしていた遠足であるが為に、ディロンの気持ちは高まるばかりだ。
しかし、明日の遠足は最上級生であるサラのお別れ会も兼ねている。
例え同じ村に住んでいるとはいえ、一緒に学校に行けなくなるのは寂しい気持ちでもあった。
(目一杯サラお姉ちゃんと遊ぶぞ!)
ディロンは何をして遊ぶかなどを考えているうちに、眠りについた。
一方、その頃エンナは姉であるサラと明日の遠足について話し合っていた。
「お姉ちゃん、明日どうしよう!」
「どうしようって……ただ遠足に行くだけじゃない」
「だって、ディロンを好きになって初めての遠出だよ?緊張する!」
「近所の森に行くだけでしょ。もう、そんなに心配しないの」
「お姉ちゃんだって、ジュナトスお兄ちゃんと一緒に遠足に行けて嬉しいんでしょ?」
「……子どもは黙ってなさい」
「お姉ちゃんだって子どもだよ!」
暫く二人で言い合っていたが、やがて二人とも疲れて、一時休戦となった。
「そういえば、明日の遠足はお姉ちゃんのお別れ会も兼ねてるんだよね?」
「そうみたいね。全く、みんな大袈裟なのよ」
「でも一応学校を卒業しちゃうんだし、やってもいいと思うよ」
ヴィス村にはあまり子どもがいないため、サラは同い年の同級生がいない。
一つ下の学年と同じクラスではあるが、それでも同級生はジュナトスしかいない。
例え一人しかいなくても、最上級生が卒業するのだからお別れ会をしようと提案したのはジュナトスだった。
「私が気に入らないのはジュナトスが提案者っていうことであって、お別れ会は嫌じゃないの」
「ジュナトスお兄ちゃん、可哀想」
「いいのよ、あんな奴!」
サラはそう言い残して、自室へと戻った。
一人残されたエンナは、明日のことを思い出して、また悩み始めた。
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