第一章
□第12話『敗北』
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なんだよこれ……
音がした場所に来ると、学校の校舎の一部が削れていた。
立ち込める砂埃が、先程何かが起こったのだということを物語っている。
その光景に、俺もマキも血の気が引けた。
俺のせいだ。
俺が神ノ子だからこんなことに……!
ここに人がいたとしたら、きっと即死してる。
「……貴様等か、魔人を倒し続けている学生とは」
辺りにゾッとするような声が響いた。
この声は聞いた事がある。
あれは入学式の日、爆鴎という魔人と戦った時だ。
この声の主は、彼に自爆しろと命じたのだ。
「誰っ!?」
すると砂埃の中から、ナツイが始めしていた格好――頭に布を巻き、目にゴーグルをつけた異様な姿――をした者が現れた。
そして布をとり始めた。
それは、左の額から角が生えており、耳が尖っている男だった。
こんな魔人を見たのは初めてだ。
本当に魔人か……?
すると男が口を開いた。
「私は対界総合軍No.1の屍螺(しら)だ」
ナンバー……ワンだと……!
さらに血の気が引いた。そんなヤツがなぜ来たんだ……!
「あれは魔人の中の悪魔という種族だ。希少数だが他の魔人とは格が違う」
タイトがそう俺達に説明した。
さっきとは打って変わり、なぜかとても冷静だ。
「どうする……?」
サクヤが皆に聞いた。
俺は正直逃げ出したかった。
勝ち目があるかわからない。皆死ぬかもしれない。
でもアイツ――屍螺がこの場にいるのは俺せいだろう。
だから俺は……
逃げたくはない。
いや、逃げるわけにはいかない!