第一章
□第5話『守る人』
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三神霊……、神ノ子……
俺は結局、自分自身の事何も知らないんだな。
体育祭の日から何日か経った。だが俺は、あの満月の日――サクヤを傷つけてしまった日の事が、頭から離れないでいた。
確かに今までも満月を見てしまった夜は、俺の中に別の人格がいた。
しかし、俺自身の意識はなく、何が起こっているのかはわからなかった。
なぜこの前は意識があったのか?
それに、今までにも俺は満月の夜に――誰かを傷つけていたのだろうか?
サクヤと……あの人以外の誰かを。
そう思うと寒気がする。
取り返しのつかない事をしてしまっているのかもしれない。
とにかく、今は三神霊の事を調べようと図書室に入った。
本はあるか?
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少し探したところで、それらしき本を見つけた。
本棚は歴史書が多く置いてあるところだった。
その中の一冊の目次に目を通し、ある頁を開いた。
――三神霊とは、何千年か昔、人間に神として奉わられた三匹の動物、鳥・虎・狼の事を指す。
とされている。
さらに、この三匹は人以上の知識を持っていた。
死した三匹は人間に転生し、現代でも転生を続けている。その三神霊の生まれ変わりの人間を、神ノ子という……