第一章
□第11話『悲しき姉妹』
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サクヤの記憶は戻った。
しかし喜びもつかの間、俺達の前にサクヤとそっくりの女が現れた。
そいつの名はナツイ・コールド――擂彪だったんだ。
どういうことだ?コールドって?
「お前らはどういう関係なんだ!?」
「こんだけ顔そっくりなんだから双子に決まってんでしょ! 少しは察しろ! 馬鹿男だな」
俺の問いを、擂彪に毒舌で返された。
そんなに言うことないだろ……
反論はしなかったが、心でそう思った。
「私達は一卵性の双子なんだ。立場はこれだけ違うけど」
ガンッ!と酷い音がした。
サクヤは擂彪――ナツイに頭を殴られた。
金属で出来ている篭手のせいで、威力はすごいだろう。
音も痛かった。
案の定サクヤは頭から血を流して無言でナツイを睨む。
「アンタのせいでしょ……? アンタがアタシを助けたせいでどんだけ苦しいおもいしたかわかってんの!?」
昔に何があったんだ?
二人には……
「クロウ……何があったか知りたい?」
サクヤが俺に聞いてきた。
どうやら思っていたことは見透かされていたようだ。
「いいのか?」
「ああ」
そう言った後、サクヤは語り始めた――