第一章

□第12話『敗北』
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 一年間っていうのは早いものだな。

 もう高一の終業式だ。



 サクヤは記憶が戻った事により、元の性格を取り戻した。


 いきなり明るくなったサクヤに、事情を知らないクラスメイト達は驚いていたが、マキとタイトは心から喜んでいた。



「しかし、あの女を見た時は驚いた。なんせサクヤと同じ顔だったんだからな」


 あの女とはナツイの事だ。


 俺とサクヤが記憶の件で大変な事になっている時、マキとタイトのところにナツイが来たらしい。


 その後、突然何かに気付いたかのように行ってしまったようだ。



 おそらく、サクヤの記憶が戻ったのを感知したのだろう。
そして俺達のところに来たわけだ。


「サクヤ、これからナツイとはどうするの?」


 マキがサクヤに心配そうに聞いた。


「絶対に説得する。ナツイの心の闇は深い。どれだけかかるかわからないけど、私が傷ついたっていいから絶対に……」


 決心するような顔で――目で、サクヤは言った。



 そんな時、突然ものすごい音が響いた。

 何かが削れてバラバラになるような音……


 あまりの音の大きさに、体がビリビリと振動している。
「何!?」


 マキが驚きながら言った。



「こ……れは……」


「何これ……」


 タイトが呟いた後、続けてサクヤも言った。


 二人共共通しているのは真っ青でひどく動揺しているということだ。


「どうしたんだ?」


「……対界の反応が強すぎる……とにかく行くぞ!」


 タイトはそう言い放ち走って行ってしまった。


「あの音はやっぱり魔人か?」


「そうに決まってる! 私達も行こう!」


 そして俺達三人はタイトが行った方向に走った。


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