第一章

□第6話『二人の秘密』
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 皆が魔人と戦っているのには何か理由があって、憎み、戦っているのだと思う。

 それが、守るなんてことはあっていいはずがない。

 これを知ったら、きっと皆は私を殺すだろう。



「――ねぇ!サクヤってばぁ!」


 いつの間にかマキが私を呼んでいたようだ。


「ん?どうした?」


「先生が成績表だって!」


「あ、ああ……」



 席を立ち、担任から成績表を貰い、開いてみた。


 案の定、よくないな……。


 私は記憶がないから、昔――まあ、中学の時とかの勉強を覚えていない。


 だから理解出来ず、テストも赤点ギリギリくらいしかとれない。


「はぁ……」


 まあ、いいか。



――――――――――――――


 今日は午前中だけの授業だったので、早く終わった。部活も二時からだから、まだ時間がある。


 暇だから屋上にでも行くか…。


 屋上に行く間、ふとあの時――クロウを庇う瞬間に蘇った記憶の事を思いだした。



 あれはなんだったんだろう。


 わかったことは、私の腹部に昔からあった傷痕は、あの時
のものだったということ。


 それに、昔も誰かを命懸けで守ったということだ。



 きっと私は、人を体をはって守るような人だったんだ。


 そして、無意識に体が動いたことから、その心は変わっていないということだ。



 記憶……戻るといいな。
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