第一章
□第6話『二人の秘密』
2ページ/10ページ
皆が魔人と戦っているのには何か理由があって、憎み、戦っているのだと思う。
それが、守るなんてことはあっていいはずがない。
これを知ったら、きっと皆は私を殺すだろう。
「――ねぇ!サクヤってばぁ!」
いつの間にかマキが私を呼んでいたようだ。
「ん?どうした?」
「先生が成績表だって!」
「あ、ああ……」
席を立ち、担任から成績表を貰い、開いてみた。
案の定、よくないな……。
私は記憶がないから、昔――まあ、中学の時とかの勉強を覚えていない。
だから理解出来ず、テストも赤点ギリギリくらいしかとれない。
「はぁ……」
まあ、いいか。
――――――――――――――
今日は午前中だけの授業だったので、早く終わった。部活も二時からだから、まだ時間がある。
暇だから屋上にでも行くか…。
屋上に行く間、ふとあの時――クロウを庇う瞬間に蘇った記憶の事を思いだした。
あれはなんだったんだろう。
わかったことは、私の腹部に昔からあった傷痕は、あの時
のものだったということ。
それに、昔も誰かを命懸けで守ったということだ。
きっと私は、人を体をはって守るような人だったんだ。
そして、無意識に体が動いたことから、その心は変わっていないということだ。
記憶……戻るといいな。