百合小説(SS)

□甘えんぼ葛さま
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私は、若杉葛…
触っただけで、手が腐るような猛毒虫だった、
親友をも失い…、この歳で既に、「鬼切り部」の「頭」となってしまった…

周りからは、「葛様」などとまで、頼みもしないのにそう呼ばれる…

毎日、「頭」としての仕事に黙々と明け暮れる日々を送ってる…、

…と思われてるが、

本当は、好きな人に、恋心をよせる、恋い焦がれる、可愛い女の子なんです!!
………
と…、鏡の前で、語りかけるような仕草でポーズをとってみる、
、小○生のような体型と、一見男の子か女の子か分からない中性的な可愛い顔をしている自分が、鏡の中からこっちを見つめ立っている
勿論、それは紛れもない自分である、
今日は、夜、思いを寄せる人、「桂お姉さん」が私に会いにきてくれる、
なのに、さっきから頭がふらふらしたり、少し寒気がして、熱っぽい、
本当は、こんな状態ではお姉さんに会うことなんてできないんだけど、今日はどうしても会いたい
――今日はだなんて、本当は、何時も会いたいんだけど―、
あぁ……
でも、この身体は、思うように私の指示を聞いてはくれないようだ…、

桂お姉さんのことを考えると、頭が、ぽぉーっとしてくるからなのだろうか…、身体だけではなく、頭までもが、私の指示を聞いてくれなくなる…、自分が何を考えてるのか?……、熱で頭がトロンと溶かされているようで、自分の思いが制御できない…、

――早く…、お姉さんに会いたい……、じゃないと…、私が満たされずに、窒息してしまいそうだ…、お姉さんを感じたい……、お姉さんの存在の温もりを身体一杯使って感じたい……、

身体の火照りと寒気で、頭もトロトロになったようで、立っているのも辛く、そして…、私は近くの仕事用机に、身体を埋めるように持たれかかる…、

まるで、暗闇の世界へと迷いこんだように、闇の中へと吸収されていく…、
闇の中で、微かな音と声…、あの人の気配をも感じる、
どこか遠くで、けれども近い所から気配を感じる、だが、私はその気配を受け止めれていない…、
聞こえてるのに…、感じてるのに…、頭が身体に指示を送ってくれない、
私は、闇の中溶けこんでいく…、


闇の中に、微かな音が耳に入ってさ迷う

――葛ちゃ…、葛…ちゃ…葛…つづ……、
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