幻想曲

□0_SEED,0_DESTINY.
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「はい、ホットミルク。」
導かれるままに家へと連れて来られ、眼の前に差し出されたのは、白い湯気で暖かさを主張した飲み物。
「・・・どうも。」
かじかんだ唇は、漸く血の気を取り戻し、どうにか普通に言葉を発するコトが、出来るようになっていた。
「あら、そちらはどなたデスの?」
カチャリと云う音と共に、部屋に入って来たのは、ピンク色の髪が印象的なひとりの女性。
「さっき、そこの道端で逢ってネ。凄く寒そうにしてたから、連れて来たんだ。そう云えば、まだ名前を訊いてなかったネ?」
紫紺の瞳にみつめられ、透き通る輝きに引き込まれる。眼が逸らせないとは、こう云うコトを云うのだろう。
「・・・刹那・F・セイエイ。」
「セツナ君か・・・。ボクは、キラ・ヤマト。で、こっちが・・・。」
「ラクス・クラインデスわ。」
涼やかな声は、耳にとても心地良く、笑顔がより一層綺麗にみえた。
「お疲れになりましたでしょう?お部屋をご用意しますから、ゆっくり休んで下さいな。」
「いや・・・、それは・・・。」
流石にそこ迄、世話になるのは、心が引ける。慌てて、断ろうとしたが、その前に制された。
「駄目だよ!ちゃんと休まないと、帰さないからネ!」
「・・・判った。」
気迫に負けて、渋々と承諾をする。こんな風にかまってくれる人等、今迄いなかったから、どう対応すれば良いのか、戸惑うばかりだった。
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