幻想曲

□0_SEED,0_DESTINY.
4ページ/20ページ

「そう云えば、セツナ君はあそこで何をしていたの?」
再びふたりきりとなった部屋の中。ふと思い出したように、キラが訊ねて来る。
「判らない・・・。自分の部屋にいた筈なのに、気が付いたらあそこにいた・・・。」
「そっか・・・、だからそんなに薄着だったんだネ。」
その答えに驚いて、一瞬言葉を失う。正か、信じてくれるなんて、思ってもいなかったから。云おうか云わまいか迷って、どうせ信じないだろうからと、敢えて本当のコトを云ったのだが、あっさりとそれをキラは受け入れたのだ。
「信じるのか・・・?俺の云ったコト・・・。」
「勿論だよ。」
「何故・・・。」
見ず知らずの相手を、そんな簡単に信じるなんて、普通は出来ないと云うのに。
「んー、少しだけ同じニオイがするからカナ、ボクと。」
「同じ、ニオイ・・・?」
云われたコトが理解出来なくて、首を傾げてしまう。少なくとも、自分とこの人の似てるトコロは、思い当たらない。
「ボクの個人的な感覚だから、巧く説明は出来ないケド・・・、背負ってるモノが、人事じゃないような・・・そんな感じ。・・・ッて、これじゃあ、ホントよく判らないネ。」
苦笑混じりに落とされたキラの言葉は、何故だか心に引っ掛かった。忘れてはいけない何かを、思い出したような、そんな感じで。
「・・・。」
部屋の窓に眼をやると、より深まった闇を背景に、白い雪が激しさを増していた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ