∋記念品∈

□受け継がれるもの
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《大賢者》


時をさかのぼること4000年前……

とおい記憶の様で、でも僕にはつい最近の様な光景だった。

眞魔国を築き、治世を導いた彼

眞王の隣に【はじめの人】は丘の上で血盟城を見下ろしていた。

自分たちを取り巻く、紫色の花びら

それは異国の苗木を眞魔国建国記念に眞王がその手で植えたものだった。


《これもよく育ったものだと思わないか?》


紫いろの桜の花びらの形をしたもの
それは青空によく染まり、自分たちを取り巻き舞い散る様は目を奪われるものだった。

《これを植えて30年はたちましょうから》

かつて大賢者と呼ばれていた彼は宙に舞う花びらを手ですくうが避けて散る。

《いつまで、いつまでこれは咲き誇ると思う?
俺たちが生きている限りこれはここにあるだろうが…》

彼にしてみれば珍しいほど、弱気な発言に大賢者は彼に歩み寄り、その場に座った。

《咲きましょう。いつまでも、いつまででも…。
どんなに困難な道が我らを待ち構えていようとも、我らが死に絶えようとも、この木はここから眞魔国を見守り続けていきます。》


貴方のように…―


その言葉を残し、彼は眞王に不適な笑みをこぼした。

あれから4000年がたった。


あの木は、まだあの丘にある。




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