お題

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シグン暗め注意。



















「、だから違うと言っているだろうがっ」

「えぇ…そんなこと言われても…」

「9mmをリボルバーに詰める馬鹿が何処にいる!」

「だ、だって」

「経口が違うのに無理矢理に入れたら暴発するだろうが!!」

「うわぁぁあんっ」










──あぁ、また痴話喧嘩か。







よく飽きないな、
とも思うし

仲が良いな、
とも思う。




喚きながら騒いでいる二人の様子を、オレはなんとなく離れた場所で眺めていた。

何も互いが嫌いで喧嘩をしているんじゃない。
空気が、そう言うんじゃない。

実際、喧嘩なんか仲良しじゃなきゃ出来ない事柄だし、普段無愛想な彼の表情をここまで崩すのは、やっぱり彼女は特別な存在なんだ、と無意識に実感する。

───実感した、後は?


…それ以上は無い、
けど…、





オレが来る前からあの二人はこんな感じだった。
二人しか、知らない想い出(データ)が、ある、こと、



まぁ、


当たり、前。



「私銃なんか使わないもん」

「護身用に持ってる奴なんか沢山いるぞ。それこそ6千円くらいで買えるやつも…」

「それってアメリカでしょー」

「日本だってある」

「密売じゃん!ダメじゃん捕まるじゃん!」




楽しそうだな。

素直にそう感じる。


じゃれあってるその様子は穏やかで、
ゆっくりで、
居心地が良さそう。


だけどオレは離れてるんだ。
そこから。



「…」



邪魔しちゃ、ダメだから。
自分で距離を取ったのに、


まるで、
縮まらない距離みたいになって、


(記録屋は、
深入りは
ダメ
だから)




意識を変えようとパソコンに目線を変えるけど

彼女の笑い声が耳に届く度

彼の少し楽しげな声が届く度







なんか、

なんだろ、




「…」






居場所





なくね?




「シグン」

「!!」


は、としたように顔を上げる。

なんだか変な事を考えていて、どくどくと心臓が静かに暴れていた。


「お前だって銃の種類と弾の経口くらい分かるよな」

「えー!!分かんないよ!!」

「分かる」

「それは仕事上だからでしょ」

「普通分かる」


話を振って来たくせにオレの回答を待たずに話は再び二人へと戻って行く。

名前を呼ばれれば
ああ、いるんだオレ。
とそんな事が頭を過ぎった。

だけどこんな穏やかなのに、
静かで平和なのに、


その二人の声が掠れて聞こえて
(色あせて見えて)


自分の体温だけ沈んでいる気がして
(気持ちがモヤモヤしてて)


二人の声がよく聞こえない。

掠れてて、

一緒にいるのに、
温度差が激しくて、






















なぁ、











オレ、

いてもいなくても一緒なのかな…?




























「…はは」



これだから、

奇数は嫌いだ。

















ノイズ




感じてるのは勝手に立てた疎外感。

















な、なんか最近シグンくんどうしたのかな。
病んでるな。鬱だな。
しっかしてくれ君がつっこんでくれないとまとまりが無いよ!←

シグンが感じていたのは嫉妬じゃなくて疎外感。
輪に入るに入れなくて、職業柄も相俟って、
勝手に離れて勝手に感じてしまった虚無と居場所の無さ。

言いようのない孤独。

人間そんな時だってあるのです。
人間なんですから。

まぁその後普通に参加するんですけどね←
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