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□S短文集
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煙管





その、煙の匂いがきらい。
アンタの匂いが消えてしまうから
きらい。


「なァんて、可愛い事を昔は言ってくれたのにな?カジリ」

「気色悪いこと言ってんな。自分は煙よりアンタの匂いが嫌いだ」


俺から背を向けていた体をコチラに向け、鋭い睨みをきかせてくる。
たいして恐くもないその視線を受け流し。カジリの顔面に煙管から吸った煙を吐き出してみせた。

喉を押さえてゲホゲホと咳込んで。
苦しむ姿に少しばかりほくそ笑んだのは言うまでもない


「苦しいか?」

「けほっ!・・んな分かり切った事聞くなニコ中!そんなもん止めちまえ!!」

喚きながら繰り出された右ストレートを難なく受け止め、吐かれた罵倒を聞けばクスクスと笑ってその頭を撫でた。
悔しそうな表情がたまらなく愛しく感じる
・・・・お前は知らないだろうが。


「その要求は承諾しかねるな。コレは俺の生きがいだ」

「なら早死にしちまえ、だったら止められるだろ」

「・・何でそんなに嫌がるかな・・」


そこまで言えばカジリは俺の手から擦り抜け、逃げていく。


「煙管もアンタも反吐が出る程嫌いだからだ!」


その一言を、残して。


「・・・・全く・・・・、
 ああいう態度がヒトを楽しませるってのをいつになったら学習するんだか」


煙管に詰めた刻み煙草をポトリと落とす。
笑う口元はそのまま、閉じた目蓋には可愛い元弟分を移して。

灰になった塊を


「お前が相手にしなくなったらやめてあげる。」


踏み潰した。





煙管
(これもまた、君を繋げるための、)





+++

カジリは受に回すとツンデレなんですね(お前
キガが相手だからかな?
そしてキガ兄さんは好きな子はとことんいじめるタイプでした。
カジリが嫌がるから吸ってるんです、煙草。
・・・・本当はそうでもないのに(ボソ
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