拍手御礼SSS
□キラカガ
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「ねぇ、カガリ。何聞いてるの?」
かすかに声が聞こえて、つけていたイヤホンをはずすと後ろにキラがいることに気づいた。
「キラには、合わない曲だぞ?」
「そんなのカガリが勝手に思ってることでしょ?」
「そうだけど・・・」
「僕も聞こう、っと。」
カガリが手に持っていたイヤホンの一個だけを奪い、左の耳につける。
「え、ちょっとキラ!!」
「ほら、もう一個はカガリの。一緒に聞こう?」
「一緒にって・・・。」
余った一個をカガリの右の耳に無理やりつけさせ、再生のスイッチを押す。
「これって・・・クラシック?」
「これ聞いてるとな、本当に心が落ち着いて・・って、やっぱりキラには合わないだろ!!」
「いや、合わないとか言ってないし。それに、もうちょっとこっちによってよ。」
2つのイヤホンはピンと張っていて、その間に距離があることを示す。
キラはカガリの肩を引き寄せた。
「ふぁ・・・!!じゃ、じゃあ、キラにこっちのイヤホンも貸すから一人で聞けよ。」
「いや。どうせなら一緒に聞こうよ。こうやってくっついて・・・そうすれば一石二鳥じゃない?」
「うー・・・」
カガリの肩がキラの肩に触れて、やがて呼吸する音さえも耳に入ってきた。
こんなの・・・
「あれ、どうしたの?顔赤いよ?」
その言葉が妙に意地悪く聞こえて。
でも、それは言い逃れのない事実。
耳から入るのは安堵の音のはずなのに
心臓の音は早まるばかりで・・・
どうかあなたに聞こえないように祈るばかり。