拍手御礼SSS
□シンカガ
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「ゴホッ、ゴホッ・・・」
「ほら、大丈夫かよ・・・」
静かな部屋に響くのはこの二人の声だけ。
シンは、まだ湯気の立っているお粥らしきものに数回息を吹きかけて冷ますと、カガリの口に運んでやった。
カガリはそれを舌で味わってから、ゆっくりとのどへ流し込む。適度な温かさが体の下へ降りていく感覚が容易に分かった。
本当だったら、今頃はカガリとしんは授業中。カガリは体調がよくないのを分かっていながら学校へ行ったのだが、そんな小細工などシンには通用せず、一発で見破られてしまった。
それから、無理やり早退させられて、なぜかシンも付き合ってくれて今に至るのだ。
家には誰もいなかったので、シンが看病役を買って出てくれたがカガリとしては複雑な思いであって。
「どお?お粥らしくなってる?」
「らしくって・・・文句なしにお粥だぞ。」
「よ、よかった・・・」
「卵とか入れてあるから食べやすいし。味もついてておいしいぞ。」
緊張がほぐれたように、その場にへたり込むシン。試行錯誤しながら頑張ってくれたんだなって言うことが心から伝わってきた。
「カガリ、熱はどうだった?」
「さっき計ったら、38,8℃だった。」
「はぁ・・・そんな熱で学校へ行こうとするのがおかしいっての。」
「う・・・だって・・。」
「そういうところで強がっても、俺にはお見通しなんだから・・・」
そういうや否や、シンで視界が埋め尽くされる。重なるシンの唇は、自分の熱が高いからか妙に冷たく気持ち良い。
「ん・・・風邪、移るぞ。」
「移しとけばいいんだよ。カガリが苦しむ姿を見てるほうがつらいんだから。」
「そんなこと言って、自分が苦しい目にあうんだぞ?」
「そのときはカガリに看病してもらうからいいんだって。ほら、病人は寝てろって。」
何か納得しないカガリは、シンに無理やり寝かされてしまう。そうして、額に一度だけキスを送ると水で濡らしたタオルを置いた。
「冷たくてきもちー・・・」
「それはよかった。そういえば、カガリ。今から、買い物言ってくるけど、何か食べたいもの、ある?」
「えっ・・・今すぐに買い物行くのか?」
「まぁ・・・薬とかないみたいだから。欲しいものが思いつかないなら適当に俺が・・・」
立ち上がろうとしたそのとき、服のすそを引っ張る彼女の手。
まるで、行くなといいたそうな感じで。
「カガリ?」
「欲しいものとか・・・いいから・・・眠るまで、そばにいて、くれないか?」
布団に顔を隠してしまって表情が見えないが、きっとすごく紅いのだと思う。
シンは、再び座ってカガリの手をぎゅっと握り締めた。
「いつも、それだけ素直ならいいのに・・・なんて。」
それに対するカガリの返事はなかったけど。
熱に犯されて、少しだけ素直なカガリは、たまに見るのにちょうどいい。
end
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シンカガですた。
シンがカガリをどのようにおうちに運んで言ったかといえば、私の中では背負ってですかね。
お姫様抱っこと迷いましたけど。
そこは個人個人の妄想で。