拍手御礼SSS
□キラカガ
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その日は夏といっても、尋常じゃない暑さで。
休みの日の部活を終えた私は買ったペットボトルのドリンクをあっという間に飲み干してしまった。
まだ、のどは潤いを欲していたがもう一本買うのは金銭的にやめたほうがよさそうだったので、急いで家に帰る事にした。
「ただいまー。」
家に帰ってリビングのドアを開けたら、外とは逆の環境で涼しい冷風が、カガリを迎えた。
「あ、カガリ。お帰り。」
「キラ・・・私が外で暑い思いをして部活にいってきたのに、この楽園は何なんだ!!」
「まぁまぁ。部活お疲れ。」
王様気分でくつろぐキラに文句が絶えなかったが、無理やりソファに座らされ、結局くつろぐ羽目になってしまった。
「はい、タオル。汗拭かないと風邪引いちゃうでしょ?」
「あ・・・ありがとう。」
「少し休んだら、シャワーでも浴びてきたら?」
「うん・・・そうする。でも・・・本当、ここ楽園だな。」
「電気代はバカにならないけどねぇ〜。」
外との環境の違い差に驚きつつも、一度ここに入ってしまうとまた外に出るのはなんとなく気が引ける。
「あ、そういえば。私、喉、渇いてたんだ。」
「じゃあ、そのテーブルの上にある麦茶、僕の飲みかけだけど飲んじゃっていいよ?」
「え、あ、これ、か?」
「うん。僕、もういいし。」
「そ、そっか・・・。ふーん・・・」
答えるキラの口調は普通で。
一方の、私はすぐに飲めずにコップをじっと見つめていた。
だって・・・飲みかけだろ?
いや、考える時点で笑われるけど。
それは、私が飲んだ瞬間・・・
考えれば、考えるほど時間はすぎていく。
つまり、あれだろ?
俗に言う、噂に言う、だれそれが言う・・・間接キスだろ?
顔が熱くなっていくのを感じる。
でも、間接キスごときで、恥ずかしがっているとキラに知られたくないのも事実で。
今時、中学生でも意識しないよな・・・。
「カガリ?どうかした?」
「あ、いいいや!!べ、別に?!」
テーブルにあったコップを手に取り、半ば腹をくくり一気に飲み干した。
顔を染める赤はそれでも収まらなくて、さっきよりも強くなっているような気もする。
ばかみたい・・・。
口をつけた瞬間、キラにキスされた感触を思い出してしまった自分の唇が、ただただ熱を増していた。
end