インベンション。
□蝶よ花よ
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話し合いなんて面倒だし、頭を下げて頼むのは何か癪に障る。
そういった色々とまどろっこしい手順を踏むより、勝負に勝った者が敗けた者の処遇を決める方法が一番解りやすくて楽だ。
また、文句なしの実力勝負はあちらも本気でくるだろうから、結末がどう転んだとしても絶対に後腐れがない。
しかし──よくよく考えてみれば。
知り合い同士が揉めたら、この宿の主であるライが黙っちゃいないだろう。
アイツが知ったら、まず事の発端から聞かれて、あれよあれよという間に話がデカくなり解決策まで提案されそうだ。
これは実に面倒臭い展開である。
アカネは眉を寄せた俺を見て、口元をにんまりと吊り上げた。
…確実に何か企んでやがる表情だな。
「……大丈夫なのかよ」
「まぁ心配しなさんな。
このッ!せくしーくの一のアカネちゃんがバッチリ作戦立ててあげるからっ!!
」
と言って、自信満々に胸を叩く。
何故だか俺はその自信溢れるアカネの姿を見ていると、どうしようもなく不安になってきた。
…後に思ったが、この不安は予感みたいなモノだったのだろう。
「──……えー、本日は晴天でございます。
こんな日は釣り日和だなぁ…という訳で!
では只今より『アルバ争奪!シンゲン対ガゼルの釣り対決』を始めまーすッ!!」