インベンション。

□蝶よ花よ
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──こうなれば半ばヤケクソだ。
どんな勝負であろうと勝ってみせる。要は侍男に勝てば良いのだ。
そうすればアルバの明るい未来を守る事が出来る。
そして、俺の心の平穏は勝ち取れるのだ。

「分かった!釣りでも何でも決闘だったら受けて立とうじゃねーか!さっさと始めろ!!」

「おっ?ガゼル、ヤル気が出たみたいね。じゃあ始める前にちょっと説明するから。
制限時間は一時間、その間に釣れた魚全部の重量がより重かった方が勝ち。
ただしッ!沢山釣れば良いって訳じゃないからね。
対象の魚は“食糧に出来る魚”のみ!」

「魚の判定は私がします」

そう言ってリプレは小さく挙手する。
だからこの場にリプレがいた訳か。なるほどな。

「そんじゃ……釣り対決、始めッ!」

アカネの掛け声と同時に俺と侍男は湖の畔へと駆け出す。


魚釣りは場所が重要だ。
いくら仕掛けが良くても、魚のいない所に竿を垂らしては釣れる魚も釣れやしない。
まぁ、その釣り場を探し出すのには長年の勘と経験がいるけどな。
自慢じゃないが、釣りは極貧時期に食材を得るため毎日の日課になっていた。
その時に苦労したからか、釣れる場所、釣れない場所はよく解っている。

みてろ侍男。
貧乏人を嘗めるなよ。



──で、それから四十分後。




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