インベンション。

□戯事
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最近、宿に大きな兎が住み着いた。
その兎は自分がいた場所に戻れなくなって路頭に迷いかけた所を宿の主に拾われたそうで。
その恩を返すべく、優しい少年と一緒に毎日とても頑張っている。

ただ失敗が目立つ。
けれども懸命だった。

その懸命な働きぶりに引っ付く失敗が、よもや自分に振りかかるとは思ってもみなかったが──





「ゴメンナサイ、ゴメンナサイ〜ッ!」


太陽がさんさんと降り注ぐ陽気な天気に誘われ、木陰で転寝をしていた最中に、大量に水を浴びた。
それも活きの良い魚付きで。


数秒前。
「しんげん、ミテミテー!」と呼ばれて、眼を開けば飛んできたのはバケツ。
寝起きで反応が鈍っていた為に逃げることが出来ず、それは綺麗な放物線を描きながら頭上へ落下した。

バケツからぶちまけられた中身──すぐ傍らに跳ねるその魚は見覚えのある種類だ。
確か、昨夜に見た。
そう…皿の上に美味しそうに調理された姿で乗っかっていた筈だ。自分はそれをおかずにして美味しい白飯を食べた。

そのバチが当たったのか。これは昨日食べた魚の呪いなのか。



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