diary SS

□02/25〜09/26
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**6巻油小路のワンシーンを見て。








あふれ出す涙が、沢山の思い出と一緒に流れ落ちて逝きそうで。
止めたいのに、それは欠片も止まってくれる気配を見せてくれなかった。
涙も、思い出も、平助の血も…。
何でこんなに痛いんだろう。
涙が止めどなく溢れる目も。
現実と過去が行き交う頭も。
つんざくような酷い耳鳴りも。
抱きしめてる左之助の腕の力も。
鼻の奥をつく濃い血の臭いも。
俺の着物にまで染み込む平助の血も。
まだほんの少しだけ残ってる平助の温もりも。
押しつけてるのに全く聞こえない、
平助の心臓の音も。
静かな世界の中、俺と左之助の嗚咽だけが響いていた。
閉じたまぶたの裏には最期まで笑顔だった平助の顔。
涙と一緒に零れて溢れていく。
いつもの笑い顔だったり、不満顔だったり。
辛そうだったり、呆れるくらい幸せそうな
俺だけに見せる笑顔だったり。。。


どうだ!新八っつぁん!
 なんだよこれー

えーだってさぁー
  おーい平助!
 あぁ!ったくー!

ちょ!それ俺の!
 早い物勝ちだから、って!
左之!
 左之!
  何だよ、早い者勝ちなんだろー?

  今日は飲むぞー!
 おー!
左之の奢りだぞー!
  何だと?!
 じゃぁ飲みまくるしかねぇな!  

じゃ、いってきまぁ〜す!
 おー、行ってらっしゃい

俺は!
 なー平助…

新八っつぁん…愛してるよ
 知ってる
ねぇ、新八っつぁんは?
 教えない

もう少しこうしててもいい?
 じゃぁ離すなよ
ずっとこうして
 手ぇくらいならいいヨ

俺のこと


新八っつぁん
大好きだよ


 好きだヨ
 平助

新八っつぁーん!
 おー

たっだいまぁー!
おかえり


「 おかえり ‥‥」


 へいすけ。。


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07/10
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