diary SS

□02/25〜09/26
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「…ねぇ」
「ん?」
「つらいんでショ?」
「まぁ、仕方ないことだからさ」
「そらそうだけど」
「泣いたって仕方ないって、前新八っつぁんも言ってたじゃん」
「……。」
「…」
「あのさ、鬱陶しいんだよ」
「…、え?」
「今にも泣きそうなのに無理してガマンして笑っててさ、泣きたきゃ泣けばいいだろ」
「…うん、」
「ほら、今だけは胸貸してやるから。泣きなヨ」
「ッ…、ごめ、ん」

苦笑して拡げた腕の中に、いつもとは違って躊躇いがちに平助は入ってきた。
俺の肩に額を乗せて、ガマンしながらそれでも嗚咽を漏らして。
肩口が平助の涙で濡れていく。

「こういう時ばっかりガマンしないで、」
「んッ」
「甘えていいんだからサ」
「ひッ、ぅん…」

掴んでいただけの手が俺の背中に回った。
息が止まるくらい強く抱きしめられる。

「…へいすけ」


空を見上げると鳥が渡った。
目がくらむ程の綺麗な青空で、
一筋だけ、涙がこぼれた。



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