book1

□dependence
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「そないにいきなり動いたらまた倒れますから。大人しゅうしとってください」
「うえ…気持ちわり…げほげほっ」

俺の後ろにいたススムがすかさず新八っつぁんのそばに行って、受け止めていた。
さすが忍…尋常じゃないこの動きの早さ。
しかも出した俺のこの腕はどうしろと…。
ススムが新八っつぁんを抱き抱えながら手でしっしとしてる。
何この敗北感。
ススムが新八っつぁんを布団に寝かせる。
額から落ちた手ぬぐいを拾って、額に乗せた。

「何も食うてないやないですか。まだ吐き気しとります?」
「…おう」
「熱も下がってへんですね」
「ん…」

昨日から何も食べてないんだ。
風邪っぽいのに無理して見廻りに行って。
その時びっしょびしょに濡れて帰ってきた。
それが悪化した原因なんだろうな。
少し前から咳してたし。

「永倉さん…?」
「おう、入りや」

この声は…。
入ってきたのはやっぱり鉄之助君。
タライを持って入ってきて、ススムと同じように「何でここにいんの?」って顔をされる。
本気で邪魔なんだろうなぁ俺…。
少なからず自覚はあります。
一応。
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