book1

□memories
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memories

大切な仲間が並んで見ている物。
それは思い出。



「何これ」
「あーこれあれだろ七夕!」
「どれ、『平助のバカが治りますように永倉新八』?」
「あーそんな事書かれてたっけ」
「けっきょく治ってないけどネ」

ペラ. . .

「あ、猫!」
「あーそんなこともあったな」
「猫になっても新八っつぁんは強いよね」
「もうそれは見たくねぇ」
「なんでぇ、猫になったお前だって可愛かったぞ。小さくて」
「思い出したくねぇんだよ!それに小さいは余計だ!」

ペラ. . .

「これは、あれだネ」
「三人で飯食いに行った帰りのだ、な」
「新八っつぁんってば置き傘してたんだよなー」
「だから違うっつーの」
「この時本当何があったの?」
「ん?忘れたー」
「おいおい、隠し事すんなっつーの」
「そうだよー」

ペラ. . .

「あ、幽霊の話してた時もあったね!」
「今でも怖ぇんだろ?」
「あのネ。俺だっていい歳した男なわけ。幽霊くらい」
「んじゃやっぱ行って見る?」
「ぜってぇ行かない」

ペラ. . .

「これは、クリスマスの日のだネ」
「あーあれは寒かった。っていうか冷たかった」
「まぁ鍋もケーキもうまかったからいいじゃねぇか」
「高いだけはあったねあのケーキ!」
「次も金出し合って高いケーキ買おうか」

ペラ. . .

「おまっ!これ!」
「あ、じつは消してない方もありましたー」
「ん?あータンポポの花輪のやつか」
「消せってこんなはっずかしい写真」
「え?すっごく似合ってるじゃん。ねぇ左之?」
「おー子供みたいで」
「尚更悪いわ!」

ペラ. . .
 ペラ. . .

「お前がいなくなって、こいつ結構荒れたりしたんだぞ」
「…、」
「んなこと、言わなくていいっての…」
「ごめんね新八っつぁん、左之」

ペラ. . .
 ペラ. . .

「そう思うんだったら、もう俺らのソバから離れんじゃねぇぞ」
「左之」
「そうだヨ。俺らはずっと一緒、なんだろ?」
「…うん、そうだね」
「間違い犯したっつーんなら俺らが正しい道に戻してやる」
「それに。その道がお前にとって正しいってんなら、俺らはお前の背中押してやるよ」
「…、うんッ」

ペラ. . .
 ペラ. . .

「だから」
「新八っつぁん?」
「もう一人で悩むな。何かあったら俺ら頼れ」
「なんの為の俺らだよ平助ー俺らダチだろ?」
「そうそう。遠慮しねぇで何でも言えばいいんだよ。ダチなんだからさ」
「ごめん…おれ、」
「泣かないで笑えよー平助ェ!」
「それに、ごめんじゃないでショ?」
「うん…ありがとう!」

目に涙を溜めながら、平助は両脇にいる新八と左之助に大きな笑顔を向けた。
その笑顔に満足そうに、二人も笑った。
そして平助の頭を撫でる。
平助を真ん中にして捲るのは小さなアルバム。
この三人の小さな、思い出たち。
笑った事、怒った事、泣いた事。
その三人の胸にあるのは愛おしさ。
みんなで歩いた、笑い合った時間は。
永遠だ。
そしてこれからも、

ずっと三人で笑い合って生きていこう。


「よしゃー指切りすんぞ指切り!」
「円陣みたいな言い方すんなっつーの」
「指切り、またやろっか」
「だぁネ」
「せーの、」
「「「ゆーびきーりげぇーんまぁーん、うーそつーいたらはーりせんぼぉーんのーます!指切った!!」」」


fin

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