book1

□策士。
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突然、新八っつぁんが俺の所へやってきた。

「すごい胸がいっぱいになってさ、心臓が破裂するんじゃないかって思ったんだよネ。
別に恋とかそんな戯れ言じゃないよ?心臓がぎゅってなったんだ。
変にドキドキしてさ。やばいなー!って凄い思ったわけ!」
「…あの…よくわかんないんだけど新八っつぁん」
「うん。あそこの和菓子すっっっごいおいしい!って、事。
やばいよほっぺた落ちるかも!
うわー初めてこんなおいしいの食べたよ!って、事。
わかった?てわけで傲って?」


満面な笑みで顔赤くして、なんかキラキラした目で見られたら断れるわけなくて。
こんな新八っつぁんに弱い俺。
知っててわざとやってるんじゃないかって考えた事もあったけど。
ま、可愛いからいいかなんて結局傲っちゃう駄目な俺。

そして和菓子は高かった…。




「左之には傲ってもらえないの?」
新八っつぁんが言うとおり、本当にほっぺたが落ちそうなくらい美味い和菓子だった。
(何てったって高級品に近い金額の和菓子だったし)
これじゃ新八っつぁんがキラキラするのも分かる気がする。

「あいつにはいっつも酒傲らせてるからサ」
「…、…だから左之いつも金ないのか…?」
「一緒に飲んでるからいーんじゃねぇの?」

うわぁ…この人鬼だ。
さっきと声色も違うし。
日に日にこの人の策略にはまってるんじゃないかって。
ちょっと思った日、でした。








策略=物事を自分につごうよく動かしたり、相手を巧みにあやつったりする、はかりごと。

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