book1

□幸せな昼下がり。
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大好きな人の
笑顔を見ているだけで
本当に幸せなんです
だからずっと
あなたに笑っていてほしいなんて
我が侭ですか…?




「………」
「………」
「………」
「…あ、あの」
「ん?」

縁側でいつものようにひなたぼっこをしながらお茶を飲んでいた。
となりにはいつものよう新八っつぁんの姿。
その新八っつぁんがじっっっと、
さっきから俺の顔を見ていた。
何も言わず、ずっと。
最初は気になりつつもすぐ顔を庭に向けると黙っていた…。
けれども延々見られる事に恥ずかしさを覚えて、俺から言葉を発した。

「俺の顔に何かついてる?」
「目と鼻と口」
「いや、そうじゃなくて」
「あと、額の傷」

そういって新八っつぁんは俺の額に指の先で触れた。
湯飲みを置いて、腰を浮かせて、彼の顔が俺に近づいて来た。

「?新八っつぁ」

チュッ

額の傷に、彼の唇が触れた。

「……!!ちょっ新八っつぁ!ど、どうしたの!」

いつも自分からなんて絶対しない彼からの
口付け。
心臓がバクバクいっている。不意打ちの行動。
顔が熱くなるのがわかる。きっと今の俺の顔は赤い。

「ぷっ耳までまっか」

笑いながら彼は元の位置に座り直してお茶を飲んだ。

「どどっどうしたのいきなり、新八っつぁん」
「ん?いっつもお前にしてやられてるから」

しかえしだヨ。と、新八っつぁんは笑顔で言った。

「し、しかえしって…心臓止まるかと思ったよ俺…」
「あはは!大げさだなお前」

ケタケタ笑う新八っつぁんが、すごく可愛かった。
心臓はまだドキドキしている。
ニコニコ笑う彼の笑顔にすら、きっと今はドキドキするんだ。
ドキドキしながら、何故か笑いが零れた。
新八っつぁんは不思議そうな顔をしている。
そんな彼の頬に口付けた。



幸せな昼下がり。

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