雲ひとつない、これぞ晴天っていう空を私は今、独り占めしている。

朝の予鈴が鳴ったのに未だに教室に向かわないのには訳がある。

それは待ち人である赤也がきっとこの場所に来るから。

朝練に遅刻して基礎練を他の部員の二倍にされた日は一限目をこの屋上でサボる。

きっとあの鬼みたいな副部長さんにバレたら練習量を十倍にされちゃいそうだけど、それを言っちゃうと私の密かな楽しみがなくなってしまうから教えてあげない。


それに、私には確認したいことがある。



屋上への階段をゆっくり上ってくる足音が聞こえる。

きっと赤也だ。
ダルそうに朝練で疲れた体を引きずりながら歩いている赤也が目に浮かぶ。

ギギーッと重たい扉が開くと、特徴のあるクセっ毛が姿を見せた。

「げ、先約いんじゃん」

げ、とは何だ!と思いつつ、初っ端から喧嘩腰は良くないと考え直し、笑顔を作る。

「サボっちゃダメなんだー」

「お前が言うなよ」

赤也はそう言うと同時に私の隣に腰を下ろした。
それはいつもの私たちの距離よりも近く、肩と肩が触れそうで触れない微妙な距離。









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