たんぺん
□“もしも”なんて事
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あたしが一裕と付き合い出して変わった事と言えば何だろう。
綺麗でいようと努力するようになった?
会話が弾むようにテレビを見たり本を読み始めた?
ううん
全て逆で、あたしは何もしてない。
一裕自身が、ただ“ありのまま”で居続ける事の難しさを知ってるから…
変わらないでいる事こそが
一裕の望む唯一の事だった。
『一裕、コーヒーと紅茶どっち飲む?』
「日本茶ー」
『だと思ったー』
急にオフになったとメールが来て、駆け付けてみれば何て事はない
大好きな彼はプレステ2をお楽しみ中。
息を切らせて来たあたしに嬉しそうな素振りを一つも見せず、あたしを部屋に入れたら即座にタイムボタンを押してゲーム再開。
ゲーム>あたし ですか。
なぁんて少しも思わない。
いつだって一裕は自由。
気を使わなすぎるのも問題だけど、そんな一裕をあたしは好きになったんだ。