K(連載)

□それは始まるために終わる物語
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「乗り越えて」周防編

胸を貫く痛み。
次第に力が抜けていく身体。
揺れる視界に移るのは旧友であり、敵の相手。
脳裏をよぎるのは仲間と、いつも己についてきた小さな少女のこと。


「ワリィ、アンナ。もう綺麗な赤を見せてやれない」


ここで小さくつぶやいた言葉も、きっとあいつには届くと思うから。
この世界に、もう悔いはない。
僅かに口元を緩め、意識を闇へと投げる。
俺の目を覚ましたのは聞きなれた声だった。
でも、もう二度と聞くことはないと思っていた声。


「…ング、キング。起きなよ、キング。相変わらずお寝坊さんだなぁ、キングは」
「……あ?」


目を覚ました視界に入ってきたのは懐かしく感じるやつの姿だった。


「やぁ、キングおはよう。と言ってももう夜だけどね。あ、そうだ久しぶりだね。また逢えるとは思ってなかったけど、嬉しいよ。あ、でもまさか誰もよりも先にキングが来るとは思わなかったなぁ」
「…あ?」


相変わらずぺらぺらとしゃべるやつだ。
しかしなぜこいつがここにいるのか。
ってか、


「…お前、なんで生きてんだ?」
「まぁ、それを言うなら恐らくキング自身もそうなんだろうけど」


…確かに、言われてみれば俺は宗像に胸を指されて死んだはずだ。
なんで生きているのだろうか。


「ようこそ、キング。別の世界へ!」
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