名探偵コナン(連載)

□~長い長いプロローグ~
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「(…どうしてこうなってしまったのだろう)」


アスファルトで激しく弾けるような雨の中大きな邸の前に立ち尽くしそんなことを考えずにはいられなかった。
濡れた両手を見つめるけれどそれは数分前よりも少し小さくて。
そのまま俯かせていた視線を目の前の門についている表札に移せば、そこには“工藤”の文字。
何度か見たことのある邸に今自分がいる場所が把握できた。
そして今後自分が頼れる人も場所もいないことにも気づいてしまった。
目を閉じれば鮮明に思い出せる先ほどの出来事。


「(…そうだ、俺は……死んだんだ)」


そう、先ほど俺は会社の仕事を終えて帰宅していた途中だった。
帰り道の途中、突然トラックが突っ込んできて俺は撥ねられた。
強烈な痛みを感じしばらくぼんやりした後、意識を失ったんだ。
撥ねられた時点で助からないことはなんとなく感じていた。

それなのに、気が付けば俺はこの家の門に寄りかかって座っていた。
無傷の状態だが、違うのはやはりこの体だろうか。
トラックに轢かれた時は25歳の体だったのにも関わらず今明らかに自分の体は縮んでいる。
目線は若干低いし、手のひらは小さい。
どっかの名探偵かよ、と思ったが…この見覚えのある家、そして表札の名字にその考えが否定できなくなったことを感じ取った。
むしろ、肯定されてしまったのだ。
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