名探偵コナン(連載)
□君がいるから
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少年と私が見つめあっている間に救急車のサイレンの音が聞こえてきた。
「私救急車を案内してきます!」
少年と一緒にいた女の子がコンテナの外へと走っていった。
残された私たちを沈黙が包む。
私は走り去った女の子の後ろ姿を見つめながらそっと口を開いた。
「…ねぇ、工藤新一君。後で私に連絡をくれない?」
その名前を出せば、彼は目を見開いた。
「なぜそのことを知っている!?」
「…明美さんに盗聴器を持ってもらっていたから」
「…お姉さんは一体何者なの?」
疑いの眼差しを向けられ、そっとポケットに入れていた身分証を差し出す。
すると彼は大きく目を見開いた。
「FBIっ!?」
「そう、後でこの番号に連絡して。…君の話を聞かせて欲しいの」
サラサラと持っていた紙に携帯電話の番号を走り書きして彼、工藤新一くんへ渡す。
彼はそれを見つめ、一つ頷くとその紙をポケットの中へと入れた。
それと同時に女の子に案内された救急車が来た。
「明美さん、救急車来ました!」
「…ん、…あとは、頼んだわよ…小さな、探偵…」
返事をしたかと思えば彼女はそっと目を閉じ、脱力した。