文豪ストレイドッグス

□繋いだ手のひら
2ページ/10ページ


「ぐっ...いった...」
『おい!どうした!?』
「ちょっと...ヘマした...」
『チッ!そこでそのまま大人しくしてろ!』


中也の苛立った声が聞こえたと思えばイヤホンの向こうが騒がしくなる。
きっと、というか間違いなく中也が暴れているのだろう。
心配させてしまうなんてなんと情けないことか...。
自分の足元を見れば足の踵側の筋...アキレス腱などがあるところを銃で撃たれていた。
酷い痛みに思わず顔を歪ませる。
止血をしなければ、とポケットに入れていた手拭いで止血をする。
まぁ、大した出血量ではないので死にはしないだろう。しかし、怪我をした場所が場所であるために不安が拭えない。
先程から痛みは感じるはずなのに、足の感覚が嫌に鈍いのだ。
これは、もしかしたらもしかするかもしれない...。
そっと瞳を閉じて覚悟を決める。


「『桜!無事か!?』」
「声が大きい!耳が痛い!」


イヤホンからとそして耳に直接聞こえてきた大声に思わず耳に填めていたイヤホンを床に叩きつけてしまった。


「おい、壊しでもしたらまた何か言われるぞ。つか、それよりどこ怪我したんだよ?」
「げ、それはそれで嫌だわ。怪我したのは足。ちょっと歩くの無理かも...」
「はぁ?んだよそれなら別にこんな急いで来る必要もなかったな」
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ