文豪ストレイドッグス

□君へ捧げる愛想曲
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コツリコツリと廊下を革靴で歩く足音が響き渡る。

疲れた。
久しぶりに長期での仕事で西方へ行っていた。
そちらでの仕事を片付け帰ってきたが、体が重い。
長期の遠征はやはり身体に負担がかかる。


「お疲れ様です、中原幹部」
「おぅ。特に変わったことは?」
「...そういえば芥川さんが裏切り者を捕らえた、という話を聞きました」


その裏切り者という言葉が指し示す人物に1人だけ心当たりがある。
しかもそいつは元芥川の上司であり、芥川が固執している人物だ。
思わず口角が上がる。
目の前の部下が僅かに肩を震わせた。


「その裏切り者とやらはどこだ?」
「ち、地下牢に拘束していると聞いています」
「そうか」


そう返し、身を翻した中原に先程までの部下が声をかける。


「な、中原幹部!どちらへ?!」
「裏切り者の顔を拝んでおこうと思ってな。すぐ戻る」


本当に捕えられたのがあいつであるならば、おかしい。
あいつがそんな簡単に捕えられる玉じゃないのは俺がよく知っている。
もし、わざと捕まったのだとしたら...何が目的なのか。
放っておく訳にもいかねぇ。
あいつは、頭だけは回るからな。
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