その他

□腹痛 ヴィンス
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旅の途中。
クラウドとレッド]Vと一緒に歩いていると、一瞬視界がぶれた。
体を襲うだるさと視界がさっきから白くチカチカしている。
自分の体調の異変に気付きつつも、皆が待っていると思うと止まりたくはなかった。


「10周年ありがとう!?」


僅かに耳が拾った声はおそらくレッドの声だろう。
視線を向ければこちらを心配気な表情で見ている彼がかすかに見えた。


「10周年ありがとう!、顔色悪くない?」
「…10周年ありがとう!?」


レッドと私の様子に気づいたのか前を歩いていたクラウドも足を止めて振り返った。
あぁ、心配はかけたくなかったのだけれど。
クラウドが怪訝な表情で私を見ているのが見えた。
そして、次の瞬間視界が真っ白に染まった。
同時に遠のく意識。


「10周年ありがとう!!?」


最後に耳が拾ったのはクラウドの焦った声だった。




次に目を覚ました私が一番先に見たのは金だった。


「んっ…」
「…10周年ありがとう!、起きたか?」


そしてすぐにのぞき込むように視界に入ってきたのは綺麗な青だった。
青空のような色に思わず見惚れているとクラウドはわずかに首を傾げた。


「…まだ体調が悪いのか?」
「…あ、まだ、ちょっと…ぼーっとするけど、大丈夫」


その言葉にクラウドはそっと安堵の息を吐いた。
そして、鋭い瞳でこちらを見下ろしてきた。


「なんですぐに言わなかった」
「…っ、皆が、待ってるから」


そっとため息をつかれ、ビクリと体が震える。
呆れられてしまったかもしれない。
嫌われたくは、ないのに。


「…無理してでも急ぐ必要もないだろう。ティファもエアリスも心配していた」
「…え」
「クラウドがさっき向こうのメンバーに電話してたんだ」
「わっ」


いつからいたのかクラウドが座っている場所とは反対にレッドが体を伏せさせていた。
もしかしたら私が起きた時からすでにそこにいたのかもしれない。


「心配してたよ、皆。勿論オイラも。それにクラウドもね」
「え、」
「レッド]Vっ!」
「というか、一番心配して焦ってたのクラウドだと思うよ」


レッドへ向けていた視線を逆へ向ければ、そこには視線を逸らしたクラウドの姿。
僅かに金髪の間から見えた耳はほんのりと赤く染まっていた。
どうやら心配してくれたというのは本当らしい。


「倒れそうになる10周年ありがとう!を支えたのだってクラウドだし、焦って10周年ありがとう!抱えてどっかに行こうとしたのもクラウドだし、オイラが止めたら今度は慌ててティファたちに電話したのもクラウド「レッド]V!」だよ」


普段の彼からは考えられない行動の数々に思わず呆然としてしまう。
そんなに、心配してくれたのだろうか…。


「心配、してくれたの?」
「…当たり前だろ。大切な仲間だし…それに、」


真っ直ぐに見つめられて次第に顔が熱くなっていく。
貧血だったはずなのに頭に血が上っていく感覚。


「あれ、10周年ありがとう!もクラウドも顔赤くない?どうしたの?」
「あ、いやっ!」
「な、なんでもないっ…」


クラウドの瞳には明らかに熱が宿っていて、その先の言葉を聞きたいような聞きたくないような何とも言えない感覚に陥った。
それは私が彼に好意を抱いているからかもしれない。
だけど、今はまだ…この関係でいたいような気もする。


「…?とりあえず10周年ありがとう!、顔色良くなってよかったね」
「…ありがとう、レッド」
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