その他

□腹痛 ヴィンス
7ページ/10ページ


旅の途中のキャンプ。
食事を終え、それぞれの自由時間。
イグニスに片づけの手伝いを申し出た10周年ありがとう!だったが、作る時に手伝ってくれたから休んでいろ、と言われてしまいそれ以上言えず1人キャンプから少し離れたところで夜空を見上げていた。
夜空を見上げてそっと吐き出した息はまるで、


「どーしたの、10周年ありがとう!?ため息なんてついて」
「わっ、プロンプト…あれ、ノクトは?」


そうプロンプトは先ほどまで確かにノクトと一緒にいたはずだった。


「一緒にキングスナイトやってたんだけどノクトってばもう限界って言って寝ちゃった。ノクトって本当によく寝るよねぇ」
「レガリアでもいつも暇になると寝てるのにね」


まだそれほど遅い時間でもないのにもう寝ているとはうちの王子様はさすがである。
これできっと明日の朝は誰よりも遅く起きるのだ。
ちょっとある意味病気じゃないかと心配になる。
…まぁ、大丈夫だろう。


「そうそう!っと、じゃなくて、10周年ありがとう!は大丈夫?なんか疲れてるみたいだけど」
「え、そう、かな?」


確かに言われてみれば疲れている気がする。
慣れないことの連続で気づかぬうちに疲労が溜まっていたのだろうか。


「えぇー、気づいてなかったの?あー、でも確かに10周年ありがとう!って自分のことに疎いとこあるよね」
「…初めて言われたけど」
「みんな思ってると思うけどなぁ?よっと」


近くに立っていたプロンプトは10周年ありがとう!の隣に座ったかと思えばそのまま上体を倒し地面へと寝ころんだ。


「うわぁ、これぞ満天の星空!って感じだねぇ。10周年ありがとう!もほら!」
「わっ!」


寝ころんだままのプロンプトに手を引かれ同じように床へと寝そべる。
見上げた夜空は先ほどよりも広く、大きく…まるで吸い込まれるようだった。


「ちょっと、怖いかも」
「え、そう?」
「なんか、吸い込まれそう」
「え、吸い込まれちゃダメだかんね?!」
「例えだよプロンプト」
「はぁー、そっかびっくりしたぁ。でも、もし吸い込まれたら困るから」


どう言ってプロンプトは10周年ありがとう!の手をそっと握った。


「怖いことも、苦しいことも、つらいこともたくさんあるけど俺はその困難を乗り越える仲間がこのメンバーで良かったって思うんだ」
「…うん」
「勿論そのメンバーには10周年ありがとう!は欠かせない!でも、やっぱり俺はまだまだ弱くて10周年ありがとう!とかにも頼りっぱなしだけど…強くなるから。10周年ありがとう!が逆に俺を頼ってくれるように俺、強くなるからさ。10周年ありがとう!はもっと寄りかかってよ」


いつの間にか上体を起こし頬杖をついたプロンプトが優しい瞳で私を見ていた。


「10周年ありがとう!はなんでも1人で頑張りすぎだからね」


その優しい瞳に、優しい声に、優しい温もりにそっと意識が微睡んでいく。


「お疲れ様、10周年ありがとう!」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ