その他

□腹痛 ヴィンス
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いつも通りのレガリア内。
しかし、ノクトは自分とグラディオの間に座っている10周年ありがとう!のことをじっと見ていた。


「…ノクト?どうかしたのか?」


運転していたイグニスがバックミラー越しにノクトを見てわずかに首を傾げた。


「10周年ありがとう!が変だ。10周年ありがとう!?なんか顔色悪くね?」
「…あ、えっと」


その言葉に全員の視線が10周年ありがとう!へと向けられる。


「…確かに、随分顔色が悪いな」
「10周年ありがとう!?大丈夫?」
「少しどこかで休もう」
「だな」
「…ごめんね」
「気にするな。無茶してなにかあったら大変だ」


10周年ありがとう!を見つめていたノクトだったが、上に来ていたジャケットを脱ぎ、そっと10周年ありがとう!にかけた。
そしてその手をそっと握った。
少し、いつもより冷たい気がする。



車はすぐに近くにオルティシエの町に着いた。
一番近くの町がここだったのだ。
そこのホテルの一室に10周年ありがとう!は寝かされていた。
そしてそのベッドの端にはノクトが腰掛けていた。


「ごめんね、ノクト。旅の途中なのに」
「気にすんな。これからもっと忙しくなるかもしんねーし、体調が悪い時はちゃんと言えよ」
「はーい」
「あ、そうだイグニスになんか温かいもん飲ませてやれって言われて飲み物持ってきたんだ、飲めるか?」
「ん、ありがとう」



寝かせていた上体を起こし、渡されたマグカップを両手で包み込む。
手のひらから伝わる暖かさに強張っていた体から力が抜けていくのがわかる。


「無理はすんなよ」


両手の上からさらに暖かくて大きな手のひらが重なる。


「心配で旅どころじゃなくなるからな、俺が」
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