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03 どっちつかずの正当性  


はっきり言えば目に惚れた。
俺だけを恨み俺だけを殺そうと奮起し、俺だけを見る
その強い目に。
認めさせるのは簡単だった。
己の武を、誰にも闖入などさせぬ強さを見せ付ければ、やつは堕ちた。
あいつも根っからの武人だってこった。
手に入ってからひょいひょい簡単に後ろ付いてくるお前。
カワイーもんだぜ、マジでよ。
愛を紡げば赤面して、機嫌が悪いとき睨めば悲痛な顔で謝る。
へえ、ずいぶん純情に躾けられている、と思った。
そう思ったら殺したこいつの親父さんに感謝したくなった。
だから真剣な顔で墓参りに行きたいと言った。
せつな向けられる殺気の混じった鋭い視線。
ゾクリと来た、やっぱりお前はこれがないとな、とか思った。
それにむらむらしてヤった。
もちろん体を繋ぐのはこれが初めてじゃねえからあいつもだんだんいい反応を返す。
そう、これで間違ってない。
今までの女もこうして引かれていった。
絶対的な強さ、それから快感を植えつけてやれば大概は堕ちる、仕様のないことだ。
だがこの翌日から、あいつは俺にそっぽ向くようになった。
話しかけても無視、近づこうとすればさり気なく離れていく。
それが三日も続けば俺は限界だった。
なんだ、この気持ちは。
俺は間違っていないはずだ、今まではこうしてきたんだしよ。
それなのに離れていくあいつを見ていると妙にぞわっとした。
おい、待てよ、なあ、凌統・・・
初めて、やべえって思った。
だからこれがマジなんだって気付いた。
おい、もう遅いのか?
俺は今まで、間違ってたってことかよ?

もう、なんでもいいから


戻ってきてくれよ、凌統・・・


【どっちつかずの正当性】
あっていると思っていたのにあぁ結局中途半端
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